ベトナムでは街のいたるところに薬局を見かけますが、今日はその中でも薬局の有名なチェーン店をいくつか紹介していきます。
ベトナムの医薬品市場は年々拡大しており2018年には約53億ドルだったのが、2024年には77億ドルになるとの予測がされています。
さらに2026年には161億ドル市場に成長するとの見方もあります。
このため日本や韓国などの医薬品企業がマーケットを求めて資本参加や企業買収を行っており、この後も加速するものと思われます。
1人当たりの購入額も2017年の統計だと56ドルですが、2025年には163ドルまで増加するだろうと言われています。
- 「MEDICARE」メディケア
- 「Long Châu」ロンチャウ
- 「Pharmacity」ファーマシティ
- 「An Khang」アンカン
- 「guardian」ガーディアン
ベトナムのドラッグストア「メディケア」
メディケアは現代ドラッグストア業界のパイオニアと呼ばれています。
“現代ドラッグストア“とはどういうことかというとお店の中に商品があり、それをお客さんが自由に見て回るといった購買方式を先駆けて導入した企業ということです。
「そんなの当たり前なんですけど」とおっしゃられるかもしれませんが、ベトナムでは薬局=家なので敷地面積は狭く、店員さんに症状を言って薬を出してもらいます。
現代ドラッグストアでは薬だけではなく化粧品やスキンケア、ヘアケア、ベビー用品、サプリメント等を中心に外国製品を取り扱っています、もちろん日本の製品も数多く取り扱っています。
また従業員は社内でしっかりと教育を受けておりサービス対応に納得がいくとも言われてます。
メディケアの1号店は2001年にホーチミン市1区でオープンし、約90店舗に拡大しています。
外国からの輸入品が多いためかベトナム人だけではなく、外国人からも人気があり、安心して買い物ができるとの評判です。
「Long Châu」ロンチャウと「Pharmacity」ファーマシティを比較
この2社はベトナムにおいて2強とよばれています。
ただし、営業戦略は大きく異なるので2点に絞って説明します。
① 販売方式
ロンチャウはベトナムの一般的な薬局と同じで店舗の入り口に薬剤師がいてお客さんの症状を聞いて薬を選んで販売するというフルサービス方式を提供しています。
一方ファーマシティの販売方式は、店頭スタッフからは積極的な接客を行いません。
お客さんが自由に店内を見て回るセルフサービス方式をとっています。
販売する商品も家庭用の医療機器やビューティーケア、ヘルスケアなども取り揃えていますので店舗面積も倍近く違います。
② スタートアップ時の店舗の拡大方法
ロンチャウは親会社であるFPTの成長戦略である「確実かつ早く」に基づいた運営ですので、開店した店舗の経営収支を見ながら、店舗の収益性が低下すれば、店舗展開をすぐに中止する方針を徹底してきました。
一方ファーマシティの開店戦略はスタートアップ企業にありがちな、積極的な先行投資で赤字を出しながらも拡大していく戦略です。
親会社の強み
ロンチャウの親会社はIT最大手のFPTなのですが、最新のAIを使用しその地域の購買は何に適しているのかなどを分析してくれているようです。
ただ、健康についての個人情報は「デリケートな問題」として顧客データを商品の広告で過度に活用することは控えているそうです。
なぜなら「ロンチャウはあなたの全てを知っている」と顧客に思われることは逆効果だとして、顧客データは慎重に取り扱っています。
まとめ
多くの専門家はファーマシティのようなドラッグストアでのセルフサービス販売を「現在採用すべき販売方式ではなく、もう少し将来のもの」と評価しています。
ベトナム人はセルフサービスのドラッグストアで医薬品を買うことにまだ慣れていないと認めたことになるでしょう。
だからファーマシティは薬以外の日用品やヘルスケア用品等の購入を促すプロモーションに力を入れているみたいです。
ベトナムのドラッグストア「アンカン」
親会社であるベトナムの小売大手Mobile World社が2017年にAn Khang 社の株式を半分取得、2021年11月には100%の株式を取得します。
このアンカン社の大きな特徴を上げるとしたらEC販売に長けていることでしょう。
なぜならMobile World社は「The Gioi Di Dong(携帯)」、「Dien May Xanh(電気製品)」、「Bach Hoa Xanh(食料品)」という3つの小売チェーンをすでに運営しておりシェアを伸ばしているからです。
ベトナムのドラッグストア大手3社に食い込むことを目指しています。
ベトナムのドラッグストア「ガーディアン」
親会社のDairy Farm Groupは香港系企業としてドラッグストアだけではなく、コンビニエンスストア、スーパーマー ケット、ハイパーマーケットなどを展開しており、アジア地域の12カ国以上で6,000 店舗以上を展開しています。
多数のブランドを取り扱いながらECに力を入れていますので多くの若者に人気があるようです。
その理由の一つですが店舗には化粧品のトライアルエリアやプロモーション等を行うエリアが揃っており集客パフォーマンスに特化しているのかもしれません。