今回お話したいのは、ベトナムにおけるお皿や小物類を含む陶磁器についてです。
日本で有名なブランドと言えば「マイセン」や「ノリタケ」
世界で有名なブランドと言えば「ローヤルコペンハーゲン」や「ウェッジウッド」
ではベトナムではどうでしょうか?
ベトナムでは「ミンロン」や「Amai」、「バッチャン焼き」などが代表的ですが、筆者は断トツに「ミンロン」だと思っています。
1970年創業の高級ブランド「ミンロン」
家庭で日常的に使える食器から、誰がいつ使うの?というような匠の技で装飾された一品まで、幅広いラインナップを揃えています。
高度な技術を駆使して焼き上げられた美しい陶器は、真っ白で美しい地色にさまざまな絵柄や造形が施されています。
食卓の色取りに、おひとつお迎えしてみてはいかがでしょうか。
信頼され選ばれるブランド「ミンロン」
あまり知られていないかもしれませんが、ミンロンブランドは世界に向けてメイドインベトナムを誇る主要な製品として信頼されてきました。
特に高品質の陶磁器製品はベトナムの国家主席や指導者が各国を訪問した際のベトナムの記念品として選ばれ、ローマ法王、アメリカ大統領、中国書記長、日本の天皇などの世界中の40人以上の指導者に贈られています。
また、高級レストランやホテルなどとも契約しており専用の食器を提供しています。
2017年に行われたAPECダナン首脳会議では、食事の際にも使用されています。
バッチャン焼きとソンベー焼き
ベトナムの陶磁器として北のバッチャン焼き、南のソンベー焼きが有名です。
ベトナム南部のビンズン省は昔ソンベーという名前の村でした。
そこで栄えていた産業が陶磁器ですが、ミンロンはそのソンベー焼きをルーツとしたブランドです。
ビンズン省での陶器作り
ビンズンでの陶器作りは18世紀の終わり頃から始まります。
この土地に定住するようになった中国人移民のために陶器産業が始められたとも言われています。
ビンズンにはタンフックカイン、ライティウ、チャンギアという古くから有名な陶器の村があるのですが、この付近の川沿いでとれる粘土の質は陶器に適しており原材料として使われています。
これらの村の発展があるおかげで現在のビンズン省があるわけなので、テトの際に行われるビンズン省、最大のお祭りの際には、潮州、福建省、広東省、チャイブの中国人の来賓を招くそうです。
それに加えて、中国の職人による伝統的な陶器作りの技術と、粘土を高熱にして石質化するために必要な窯(かま)で陶器を焼く秘訣があります。
1910年から1930年の間、ビンズンには約40の陶器窯があり労働者は約1000人ほどでしたが、1985年には273の陶器製作所6700人の労働者が集まるようになりました。
現在では約300の陶器製造施設があり、約500の陶器窯で1万5千人以上の従業員を雇用し、年間1億3千万個から1億5千万個の製品を市場に供給しているそうです。
時代の流れとともに製品の多様化
ソンベー焼きの陶磁器は主にボウル、カップ、プレート、スツール、彫像、植木鉢などの家庭用品でしたが、現在は消費者の嗜好に合わせ、多くの生産段階を工業化することで、ベーシックからハイエンドまで幅広く多様な製品ラインを生み出し、生活のさまざまなニーズに応えています。
ビンズン陶磁器の特徴は製品の耐久性、釉薬、そして南部の田園地帯の自然の風景、有名なモニュメントやベトナムの風景など、多様でありながら密接な装飾テーマにあります。
さらに、ビンズンの陶器製品は現在、ベトナムの伝統と西洋の現代性を融合するようになり、ヨーロッパ市場で非常に人気が出てきました。
陶器産業に経済資源の安定と積極的な発展をもたらしています。
特に、第1ミンロンの陶磁器製品は高品質のビンズン陶磁器製品を世界にもたらしたパイオニアと見なされています。
第1ミンロン国産陶磁器
Minh Longは1970年に創業したベトナム高級陶磁器ブランドです。
すべてはドイモイ政策後の1996年から変革していきます。
技術、デザインを重視する戦略で、ミンロンI会社は欧州から窯を輸入し、外国人の技術者により組み立てられました。
そのほかにも、ミンロンI会社は数多くの現代的な機械やラインに投資していきます。
現代的な生産ラインをもちいることで、製品の質は一定の基準を満たし、高品質で人気が出るようになります。
デザインにはベトナム人に馴染みがある、竹の模様、さぎの模様、ハロン湾、一柱寺、ベトナム南西部のメコン流域についてのイメージしベトナム文化の特徴を表しています。
そして現在、ミンロンIの製品は国内だけではなく、アメリカ、イギリス、ドイツ、ロシア、カナダなどの国へと輸出されようになりました。
ミンロン陶磁器のこだわり
通常1280度程度で焼き上げるのに対しミンロンの陶磁器は1380度まで上がる陶芸窯(ガス炉)で焼き上げます。
このガス炉の建設が一番大変だといい、技術をドイツから持ってきたりと海外の技術を多く取り入れ、何十年も研究を重ねできたものになります。
Minh Longのデザインは機械で書かれたものですが、窯で焼き上げることにより高い温度に耐え、材質を強固にしてくれます。
本当に様々なデザインのラインナップが展開されており多くの層に親しまれていることがMinh Longの特徴だと感じます。
第1ミンロン株式会社のリー・ゴック・ミン社長
リー・ゴック・ミン氏はビン・ズオンのタン・フオック・カインで四世代にわたり、家族で手作りの陶器を作ってきました。
長年の伝統を受け継ぎ、巧みな陶器製作技術と陶器作りの「秘密」を継承してきたのです。
その結果、世界におけるベトナム陶磁器の位置を築くことができました。
そしてリー・ゴック・ミンは人民芸術家として2007年に労働者英雄の称号を授与されました。
バッチャン焼き・amaï
現在バッチャン村にあるバッチャン焼きの工房はかなり少なくなっています。
ですがベトナム全土に出回るバッチャン焼き。そう、偽物が多くあるのです。
コピー製品大国なので気休めかもしれませんが、Bat Trang Vietnamと裏に書かれてあるものが本物と言われています。
amaï(アマイ)ベトナム、ホーチミンにてオランダ人とベルギー人の女性二人が生み出したブランドで、今までにあるようでなかった”生活になじむ、一つの芸術作品のような食器”が多くの人の心をつかんでいます。
見た目も肌触りも色合いもとってもシンプルであり、そのデザイン性がベトナム国民にマッチしているのかもしれませんね。